ソクラテス・メソッド

サブタイトル:説得せずに”YES”がひきだせる!
著者:本田有明
発行所:株式会社河出書房新社
印象に残ったこと:
マイケル・サンデル教授の「ハーバード白熱教室」の授業のやり方は、古代ギリシャの哲学者ソクラテスが開発した対話法(ソクラテス・メソッド)に立脚している
サンデル教授の信条は、「最高の教育とは、自分自身でいかに考えるかを学ぶことである」
この信条、まさにソクラテスが唱えた哲学の精神そのものにほかならない
正しい論理は人との語らいによって明らかになる、との強い信念をもっていたソクラテスは、問答をかさねることで真理に至るという方法論の創始者になった
相手に知恵を生み出させることから、彼の対話法は「ソクラテスの助産術」と呼ばれている
道筋だけを示し、ともに議論することによって、”新たな知恵”を獲得する
それが、ソクラテス・メソッドの真髄

ソクラテス・メソッドとは、
①自分が話すことよりも相手の話をよく聴くことでキーワードを見つける
②巧みな質問をすることによって相手の中に眠っている知恵を引き出す
③対話の作法を守りつつ論理思考を促し、ともに問題解決のヒントを探す

ポイント 1: 相手が興味をもつ話からはじめよう。興味をもてない話には誰も耳を傾けない。
ポイント 2: 主役は私ではない。相手を主役にすることで対話は活性化する。
ポイント 3: ユーモアをもって語ろう。楽しくない話は人の心を引きつけられない。
ポイント 4: 相手に敬意を示そう。敬意がコミュニケーションの潤滑油となる。
ポイント 5: 自分の考えを押しつけてはいけない。考える道筋を教えれば答えは相手が見いだす。
ポイント 6: 詳細なレジュメはつくらない。対話は一回限りの真剣勝負である。
ポイント 7: まず対話ありき。語り合うことで知恵が生まれる。
ポイント 8: 結論を用意してはいけない。対話によって結論はおのずと導き出される。
ポイント 9: ねばり強く対話を続けよう。知恵を生み出すまでには相応の時間がかかる。
ポイント 10: 交渉は共同作業である。相手をパートナーとして尊重しよう。
ポイント 11: 相手の言い分をよく分析してみよう。新しい提案をするヒントが隠れている。
<オズボーンのチェックリスト>
ポイント 12: 相手の満足を議論の中心にすえよう。その熱意に比例して信頼度と説得力は高まる。
つまり、WinWin
ポイント 13: 教えようとしてはいけない。教えてもらおうとすれば、よい話が聞ける。
ポイント 14: 心を込めて耳を傾けよう。答えのキーワードは相手が握っている。
ポイント 15: 話しやすい環境をつくろう。リラックスできなければ人は心を開かない。
ポイント 16: 自慢話をしないように。相手はあなたに敬意ではなく反発を感じる。
ポイント 17: 自分の失敗談を語ろう。相手は親近感を覚え、みずから教訓抽出をする。
ポイント 18: まずは「なるほど」と理解を示そう。相手もおなじ反応を示すようになる。
ポイント 19: 自然の気づきを促そう。「待ちの育成」が真の成長につながる。
ポイント 20: 行動の選択権を尊重しよう。人は他人にコントロールされることを望まない。
ポイント 21: 対話のペーシングを心がけよう。基本スキルはリピート、要約、フィードバック。
ポイント 22: 質問する力を磨こう。相手をきちんと理解してこそ提案力も高まる。
ポイント 23: 強みと弱みを分析しよう。新たな行動の選択肢はそこから生まれる。
ポイント 24: 人にかかわるポジションは3つ。相手に合わせて立ち位置を考えよう。
ポイント 25: 立場が上だからと強制してはいけない。作用にたいして人は無意識に反作用を試みる。
ポイント 26: 性急に答えを出そうとしてはいけない。楽しい話題を継続して語れば話は深化する。
ポイント 27: 「グッド・アンド・ベター」で褒めよう。人は肯定にたいしては素直に応じやすい。
ポイント 28: 親子関係には「鉄本柔葉」で対処しよう。例外を認めれば例外だらけの状況になる。
ポイント 29: 判断の基準を明確にしよう。方針がブレては説得力のある対話はできない。

考察:コーチングの本質に近いものであると感じた。