70歳が老化の分かれ道

著者:和田秀樹
発行所:詩想社
印象に残ったこと
高齢者というのはとても個人差が大きい年代。
気持ちが若く、いろいろなことを続けている人は、長い間若くいられる。
栄養状態の良し悪しが、健康長寿でいられるかどうかを決める。
そして、それ以上に重要なのは、人々を長生きさせる医療と、健康でいさせてくれる医療とは違う。
たとえば、コレステロールというものは長生きの敵のように言われていますが、コレステロールの高いひとほどうつ病になりにくいし、それが男性ホルモンの材料なので、元気で頭がしっかりしている。
実際、コレステロールが高めの人や、太めの人の方が高齢になてからの死亡率が低いことが明らかになっている。
70代は「最後の活動期」、ただ、70代には特有の脆弱さもあるから、ほおっておいたら衰えは進む。
だから、意図的に、心がけることが大事。
80歳にもなれば、みな老いに直面することになる。
脳の老化を止めたり、脳を再生したりすることはできない。
老いの期間が、15~20年に延長する人生が標準になってくる。
伸長した老いの期間をどう生きるかが重要な課題になってくる。

70代は老いと闘える最後のチャンス。
長居老いの期間を健やかにすごすためには、まず脳の機能をいかに80歳以降も保つかが重要である。
あわせて、70代のときにもっている運動機能を、いかに長持ちさせるかということも大切になってくる。
70代の「老いと闘う時期」と、80代以降の「老いを受け入れる時期」に分けて考えることが求められている。

70代の最大のリスクは、「意欲の低下」である。
脳機能、運動機能の維持には、「使い続ける」ことが重要である。
男性ホルモンは、他者への関心や意欲にもかかわっている。
意図的に、身体を動かそう、脳を使おうと習慣化することが重要である。
働き続けるということが、高齢になっても活動レベルを落とさない手っ取り早い方法なのである。
ただし、歳をとってからの働き方は、若い時のものとは変えるべきである。
お金や効率だけを求めるような働き方から自分の経験や知識を生かして、誰かを助け、社会の役に立つということに価値を置いてもいい。

運転免許を返納してはいけない。
実は高齢者ドライバーは危なくない。

肉を食べる習慣が「老い」を遠ざける。
歳をとると意識レベルが低下してくる理由のひとつが、脳内の神経伝達物質であるセロトニン(「幸せ物質」)の減少である。
セロトニンが減少してくると、日々の

幸福感は薄れ、はつらつとした感情や若々しさ、活動する意欲が低下してしまう。
気分が沈んだり、イライラしたり、感情が不安定になり、うつ病のリスクも高まる。
肉を食べることにより、セロトニンの生成が促進され、意欲低下の抑止に働く。
肉を食べることは、セロトニンと男性ホルモンの生成を促進し、人の「意欲」を高め、活動レベルを維持することに大変効果的。

適度な日光浴をする習慣も、意欲の低下を防ぐには効果的。
セロトニンは、光を浴びるとたくさんつくられる。
陽の光を浴びてつくられたセロトニンによって、夜になると脳ではメラトニン(「睡眠ホルモン」)がつくられる。

脳の老化を防ぐのは、生活の中の「変化」
高齢者の意欲の低下は、前頭葉の老化によってももたらされる。
前頭葉は、想定外の対処をするとき、活性化する。

前頭葉の老化を防ぐためには、「アウトプット型」の勉強スタイルに意識して変えていくことも効果的。
これまでの知識や経験を自分なりの意見に加工してアウトプットする。
会話は、日常的なアウトプットとして最も手軽。

運動習慣の維持が大切。
「散歩」が最適。無理のない運動を定期的、継続的に行うことが大切。
太極拳などもよい。

ダイエットしてはだめ。
70歳になったら、栄養の不足のほうに気を付けて、取り過ぎについては過敏になる必要はない。
おいしいものを食べると、前頭葉が活性化する。

70代になっても、なるべく人付き合いは絶えず、続けるようにする。
70歳を過ぎたら、好きな人、気が合う人とつきあう。
SNSなどを使って、何か自分の意見や趣味のことなどを週に一度でも発信するのもいい。
70代は、「楽しめているかどうか」が目子機機能に大きく影響する。

医師が言う正常値にこだわることなく、日常の活動レバルを落とさない程度の薬にした方がいい。
薬とは、不調がある時に、楽になるために飲むのが基本。
検診より、心臓ドッグ、脳ドッグが有効。

統計データと長寿者の知恵を参考にする。

70歳以上であれば、がんは手術をしない方がよいことも多い。
手術をすると、身体全体の機能を落としてしまうので、他の病気にかかるリスクが高くなる。

70代は、「うつ」のリスクが高くなる。
こころの不調は誰にも起こり得るので、ひどくなる前に病院に行くことが大切。
認知症と診断されたとしても、直ちに記憶を失って何もかもわからなくなるわけではない。
いまある機能を使い続けていくことが認知症の進行を遅らせることにつながる。

70代の危機を乗り越える。
退職をしたら、新たな仕事やボランティア、趣味(働いているうちから始めておく)の活動を始めるのがよい。
70歳前後の人が家族の介護に直面したら、介護保険制度なども駆使して、如何に楽をするかという視点でヘルパーさんの手などを借りるといい。
介護を生きがいにしないことは、70代の人が、この先、80代、90代も元気に生きていくためにもとても大切。
在宅介護より、在宅看取りという選択肢をとった方がいい。

親との死別を乗り越えて生きるには、親が劇来なうちに親孝行をするべき。
配偶者との死別を乗り越えて生きるには、行動のすべてが、「夫婦二人ユニット」になってしまわないように気を付けるべき。
夫婦だけの閉じた人間関係ではなく、他の人達との接点も互いに保っていくように心がけるといい。

70代になったら、自分のことだけで生きるのではなく、周りのひとのために尽くす生き方に少し変えていった方がいい。
最後は、その人がまわりに何をしてきたかが大きい。

 

統計データと長寿者の知恵を参考にするのは非常に重要。正しく認識して、適切に行動することが重要と感じた。

 

以上

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