モモ

著者:ミヒャエル・エンゲ
訳者:大島かおり
発行所:岩波書店
印象に残ったこと
この物語は、時間どろぼうと、ぬすまれた時間を人間にとりかえしてくれた女の子のふじぎな物語である。
女のこの名前は、「モモ」、年齢も素性もわからない浮浪児。あいての話をじっくり聞くことによって、その人に自分自身を取り戻させる力を持っている。
とりまく世界は、「よい暮らし」のために、と信じて必死で時間を倹約し、追い立てられるような病菌に侵され始めている。
「灰色の男たち」によって時間を奪われる。
まるで現在のような世界である。
モモは、そこから、ぬすまれた時間を取り戻してくれる。

「作者のみじかいおあとがき」より
この物語は私が人からIIたのを、そのまま記憶通りにかいたもの。
「わたしはいまの話を。」とその人は言いました。「過去に起こったことのように話しましたね。でも、それを将来起こるこのように話してもよかったんです。」

この本は、1976年に出版された不思議な児童文学であるが、示唆することの多い名著であると考える。

以上