70歳からの選択

著者:和田秀樹
発行所:徳間書店
印象に残ったこと
高齢者が後悔する6つのこと
・もっと好きなことをしておけばよかった、特に健康面と金銭面
・いろいろ経験しておけばよかった
50歳以降は前頭葉の萎縮が進むことで意欲が減退していく傾向がある
前頭葉の後退を防ぐには、生活のマンネリ化の打破、つまり新しいことを経験することが重要
・自分を殺して他者に尽くしすぎなければよかった
・周りにもっと自分の気持ちを伝えておけばよかった
高齢者になると怒りっぽくなるといわれるが、じつはそうではなく、怒り出した時にブレーキがかかりにくくなる
・お金の心配をしすぎなければよかった
現在の高齢者は、年金と公的な制度でほとんどの生活・介護・医療の費用を賄える
・医者の言うことを聞きすぎなければよかった
薬や制限が、別の症状を引き起こし、高齢者のQOL低下を招くことの方が多い
70代以降になったら、医者と薬のつきあいを変えるべき

高齢者は「好きなことをして生活できる」チャンス
「面白いか、面白くないか」で生きると残りの人生が変わる

後悔しない老い方の秘訣
肉体の老化より、感情の老化の方が恐ろしい
前頭葉を働かずにいると、「廃用現象」が起こる
使わない機能、器官が衰えていく
新しい付き合いを積極的にできる人は、こうした脳の退化を防ぐことができるうえ、人間関係も良好なので、退職後や老後も自分の世界を広げることができる
前頭葉の老化を防ぐには日常のマンネリ化を壊すこと
男性ホルモンの低下が意欲と記憶力の低下を引き起こす
肉やコレステロールが男性ホルモンの材料となる
60歳以降セロトニン現象が顕著になる
セロトニン(幸福感)のキーワードは、運動、コミュニケーション、日光、睡眠、肉(特にたんぱく質)
高齢になってからの動脈硬化は気にしない
すでに、動脈硬化がある場合、コレステロールを減らしても意味がないばかりか、むしろ健康を害する可能性がある
男性ホルモンやセロトニンの分泌を増やすためには、肉やコレステロールの摂取が必要、コレステロール値が低いとがんになり易いというデータもある
日本人は、心筋梗塞でなくなる人が少ないので、コレステロールを控えることにほとんど意味がない
むしろ日本の高齢者はコレステロールを積極的に摂取すべき
定年、親の介護、親の死亡で喪失感を味わうことが多い
加齢性難聴も認知症の原因になる
耳が聞こえにくくなった時には、耳鼻科で診察を受けて難聴の進行を食い止めるとともに、迷わずに補聴器を使うこと
70代で健康診断で検査値を正常にしようと、血圧や血糖値を下げるために生活にいろいろな制限をかけようとすることが、かえって元気な生活にとって害になることがある
70代はまず、検査に振り回されたり、医者の言うことを鵜呑みにしたりしない方がい
70台を楽しむための一つの生き方として、毎日何か一つ実験をしてみる、という気持ちを持つのがよい
医者の言うことを守って、たくさんの薬を服用し、食べたいものを食べられないストレスの多い生活は、必ずしも長生きにはつながらないし、むしろ免疫力を弱め、体や脳を衰えさせる、死因トップのがんになりやすくなる

80代は体の衰えが一気に表面化する
80代で重要なことは、残されている機能、今できている能力をどうおとろえさせないかを考えることが重要
楽しいことと習慣化が重要

高齢者は肉と赤・緑・黄色など色の濃い野菜を食べる
血液の循環をよくする御目がグループの油やオリーブオイルをしっかり摂る
がんと闘う免疫細胞を作る栄養としてコレステロールは欠かせない、そのために積極的に肉を食べるべき

高齢者は検査の数値は高めの方がいい
血圧や血糖値を下げる薬は、低血圧、低血糖を招き、通常の人でも頭がボーっとしたり、足元がフラフラしたりすることがある、転倒・骨折につながる危険性が大きい
70歳を超えたら、血圧160~170mmHgくらいまでは薬を飲む必要がない
コレステロール値も同様

70代になったら、ダイエットなどすべきではない
一番長生きしたのは、「太り気味」に分類されるBMI25~29.9の人

自己決定権を持つことが「後悔しない生き方・逝き方」のコツ

70代からの医者選び
待合室の雰囲気がいい病院
患者の話をよく聞き、患者を上手に元気づけてくれる医者の病院の待合室も、患者は明るく、元気なことが多い
この先生なら安心できる、この先生に診てもらうと元気がもらえるというような医者が見つかれば、悔いのない人生を送ることができる可能性が高まる

70代になったらがんと闘うな
高齢者の願を切除すると、栄養が十分にはいってこなくなるので、その後の衰弱が激しくなりがち
高齢者はたとえ転移してもがんの進行が遅いので、体力を落とすような切り方をするよりは、がんだけを切除する方がいい
OQLを高めて悔いのない人生を送る方がいい

高齢者の物忘れとうつ病
物忘れの記憶障害は、想起障害と記銘力障害がある
記銘力障害は、新しく覚えたことが脳に書き込まれない、最近起こったことが覚えられないという記憶障害
認知症は、記銘力障害がメイン
想起障害は、すでに脳に書き込まれているものがでてこないという記憶障害
記憶障害は、前頭葉の萎縮と男性ホルモンの低下、うつ病、認知症により起こる
前頭葉の萎縮と男性ホルモンの低下、うつ病は適切な治療により治すことができる

前頭葉を鍛えるためのトニーニングをする
インプットしたことを他人に話す
良質な睡眠をとる
脳に栄養が行き渡るようにしっかり食べる、肉や魚から、なるべく多くタンパク質をとる
運動をする(太陽の下を1日30分は歩く)
ストレスが少ない生活をする

認知症は恐くない
認知症は軽度であれば、ほとんど問題ない、メモを取るなどの手段を用いれば、簡単にカバーできる
初期の認知症の方は記憶力が落ちること以外は、実は何でもできる
認知症は治らないが進行を遅らせることができる
普段頭を使っていれば意外としっかりしている
認知症を遅らせる「習慣化、笑、料理、歯」
好きなことや楽しいこと、興味があることをやり続けること、日常的にやっていた習慣をなくさないこと
噛むことが脳にいい

65歳時点で元気な人は、80歳まで健康で長生き
働くことがもっともふさわしい
働く高齢者ほど幸福度が高い
楽しく刺激に満ちた毎日を送ることは、前頭葉の萎縮が進んで意欲が落ちてくる高齢者にとって、脳の老化を防ぎ、さらには体の免疫力を高めてくれるため、非常に重要
運転免許は返納しない方がいい

老後のお金に振り回されない
健康保険、介護保険などで、経済面の心配はほとんどない

老いを受け入れた生活をする
老人ホームに入るものも有効
老老介護状態は絶対に避けるほうがいい
夫婦のあり方を再考してみる(つかず離れず婚など)

ピンピンころりよりがんで死ぬ方がいい
延命のためのがん治療はしない
延命より好きなことができる人生がいい

すべては本人が「楽に生きられる」ことを基準に決める方がいい
体も心も我慢しない、楽でストレスレスな方法を選んだ方が、むしろ寿命が延びる
自分にとって幸せだと思える選択をすればいい

感想:自分にとって幸せだと思える選択をするのがよいというのはその通りだと考えるが、その選択を適切にするのが非常にむずかしいのではと感じる。
早期発見早期治療も年齢により、かならずしも、万能ではないと感じさせられた。